〝龍の本〟を買った次の次の日
(龍使いになれる本:サンマーク出版)
戸隠奥社にどうしても行きたくなり
足を運ぶことになりました~
その日は早番で仕事が早く終わったので…
かなり迷いましたが
太陽が光り輝いていましたし~
思い立ったが吉日
「ヨシ!行こう!」
約1時間かけて戸隠奥社に向かったのです!
時計の針は
午後4時半になろとしていました
到着したころには
当然ですが(笑)~
太陽がかなり西に傾いていました…
すでに5時半をまわり
まもなく
山影に日が沈もうとしています
しかし
参拝客がまだ歩いていたので~
当然
九頭龍さまにお参りできると信じて
奥社鳥居に向かいます
あれ…
鳥居の右にいるのは警官?
何かあったのかなぁ~
まあいいや…
先に進みましょう
それにしても
本当に気持ちいい
神聖なる参道の杉並木の匂いを思い切り吸い込んで
「やっぱここには~神様いるよね~」と
ひとりごと
感動しながら写真を撮って
のんきに参道をすすんでいくと
いつのまにか
参拝客が2~3人になっている
横を見ると
あと1400メートルの看板だ…
???
計算できず
前方を見ると赤茶色の随神門だ…
あの門を越えるとすぐだっけかな…?
せっかくここまで来たのだから
行ってみよう!
そこへ
一組の年配の夫婦が参拝を終えて
こちらに歩いてきます
「これから行くんですかー?」
「はい」
「まだ…かなりありますよ」
「……」
「初めて来られたんですか?」
「うーん?昔…35年前に一度……」
「私達が最後でだれもいませんよ」
「……」
「せっかく来たのでやっぱり行ってみますー」
「そうですか…道中、気をつけて下さい…」
「ありがとうございます」
いつの間にか
山の斜面に日が陰り
神聖なる杉並木も~
うっそうと茂った巨木に感じられる…
さっきまで雑木林で鳴いていた鳥の声も
ぱったりと途絶えた
あと少しで
随神門に到着しようとしたとき
遠くから
「戻ったほうがいいですよー!」
という声が聴こえた
振り返るとさっきの夫婦が
こっちに手を振っている
(やだなあ、何だろう?____)
あたりはかなり暗くなっている
声のトーンから
これは、戻ったほうがいいかも…
急いで方向転換し、小走りに今来た道を戻った
私が戻るのをご夫婦は待っていてくれた
やっと
ご夫婦まで辿りつくと
「今ねえ…ここを熊が通ったんですよ!」
「えーっ!」
「ここのササヤブからきて、少し参道に座って、そして右へ入って行きました…初めて!熊!見ましたね!」
「うわっ!熊ですかー?」
「はい。熊です」
「私達もう何年もお参りに来ていますが…熊が出たのは初めてです」
「あっ! そういえば…鳥居の横に熊出没!の看板ありました~」
「今まで看板なんて無かったですから、最近でるんですね」
「まあ…とにかく驚きました!黒い塊がここに座ったんですから」
「引き留めて頂いてほんとうにありがとうございました~
あのままでしたら~熊に食べられていました(笑)!」
笑いごとで済んでよかったと~
〝命の恩人〟に何度もお礼をいって
甘かった考えを反省しながら
大人しく帰途についたのでした~…
ハンドルをにぎりながら…
ふと…
それにしても
あの警官…
帰りにまだ茶屋に立っていた…
私服も2人…
ご夫婦が熊の報告を警官にしたら
「いま通り過ぎた人に聞きましたー」
とガッカリするくらい簡単に受け流した
私は妙な気がしたので
「他に何かあったんですか~?」と質問したら
「……」
「いろいろ…」
もう一人も「いろいろあるんです」と
苦笑し警官同士顔を見合わせた
後日、職場の友達に話したら
〝えっー!一人で行ったの?
あのねぇ、神社にお参りするのは
午前中がいいんだよ
夕暮れになると
魑魅魍魎(ちみもうりょう)が
ついてくるからさあ〟
「ちみもうりょう?」
「化け物や妖怪のことだよ!」
「うわぁぁ~」
「そういえば警官が茶屋にいた…私服2人の全部で3人」
「へえ」
「私服だと、刑事だね…」
「熊じゃなくて、車上狙いか、変質者か、もしくは暴行…」
「やだ、婦女暴行?」
「それにしてもさ、警官も夕暮れに入っていく参拝客見つけたら、ストップしてくれればいいのにね」
私が言うと
「そりゃあ…年寄りだからね、そのまま行かせたんだよ(笑)!若かったら止めてるよ…」
「ははは(笑)…」
「それにねー
警察は事件が起きてからでないと
面倒をみてくれないものなんだよ」
知らなかった↷
「ところで九頭龍様 拝みに行ったんでしょ?」
「うん」
「歯でも痛かったの?」
あっ…そうか
一般には歯や五穀豊穣の神様として知られてるんだっけ
まさかなあ~
龍の背中に乗るために行ったなんて
言えないもんな~
はらやま