こんばんは
はらやまです
窓を開けて
寝ていると
虫の声が聞こえるように
なってきました
いよいよ読書の秋ですね~心をうごかす素敵なお話はないかな?ということで、この春 出版された藤田ミツ 原作『かみさまのおはなし』講談社 読んでみました
この本は
昭和15年(1940年)に
出版されたものを
皇室ジャーナリストの
渡邊みどりさんが復刻提案し
高木香織さんが構成したものです
神さまたちは、どうやって
日本の国を つくったのでしょう?
国づくりのお話『古事記』が
わかりやすく童話になっています
こんなに優しくて
すてきな
童話があったことを
私はまったく知りませんでした
美智子さまが
お子さまたちのためにと
選ばれ
浩宮さまも幼少期に
読まれた本です
『古事記』といえば
私のなかで 今まで
恐くて 気味の悪いイメージ
しかありませんでした
例えば、イザナキ、亡き妻イザナミを黄泉の国に尋ねるシーンでは、ウジ虫だらけの化け物に追いかけられたという記憶が残っていて、スサノウにしても乱暴やいたずらをしたときに、なんと糞便をまき散らしたということが気分を下げてしまいました。『古事記』は日本人として大切な本でしょうけど、ちょっと無理かなと。中学のときに思春期の男子が、かなり露骨な性行為の描写を話題にして、喜んでいたことも敬遠のひとつでした。そんなこともあってざっくりとしか読んだことがなかったんです。
読みすすめ
すごい!と思いました
選ぶことばの表現で
古事記の世界が
こんなに優しく
こんなにふっくらと
子どもの発達にピッタリ
するのですから
言霊だよね
と思いました
この『かみさまのおはなし』は
読み手に幸福感を与え
品位を思いださせるな
と思いました
ふっくらとした幸せな気持ちが
いつのまにか体じゅうに
広がってきます
大人が読んでもいいです
いや、ぜひ読んでほしいです
満ち足りた気持ちになってきます
まず、自分で何回も読んで
味わってから
孫に読み聞かせをしたく
なる そんな本です
本文より、印象の深かったところは
あれも、これも
たくさんありますが
2つ ご紹介します
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イザナキが 亡き妻イザナミを忘れることができず、黄泉の国まであとを追っていき、もう一度戻るために黄泉の神と相談する間、けっして姿を見てはいけないと約束したのに、あまり遅いので待ちきれなくてのぞくと、そこに見たものは、無数のウジがたかっているイザナミの腐乱死体だった。そこで慌てて逃げ帰る場面は次のように書かれています。↓
【本文より】
いざなぎのみことは あわてて、いちもくさんに 走って、ご門の ところまでにげだして いらっしゃいました。ほっと 安心して、後ろを ふりかえって ごらんに なると、これは これは たいへんです。お宮の中から、ぞろぞろ おおぜいの 女の人が、かけだして きて、追っかけて くるでは ありませんか。風のように 速く、少しも 音を たてず、走って くるのです。「やれやれ こまった こまった、にげよう にげよう。」 いっしんに おにげになりました。わき目もふらず さっささっさと、いっしょうけんめいに お走りに なりました。いざなぎのみことは しかたなく、頭のかざりに しばってあった ぶどうのつるを ひきぬいて、ぽいと 後ろに 投げて、「実になれ、実になれ」と おっしゃいました。
高天原からたいへん知恵のある賢い神さま、スクナヒコナが良いことを教えるために、オオクニヌシのところに来て、しばらく暮らし、別れるときのお話は美しく胸がキューンとします↓
【本文より】
つぎの日のことでした。 すくなひこなのみことさまは、おおくにぬしのみことのところへ いらして、おっしゃいました。
「今日は あなたと ごいっしょに 畑へ 行って、あわ(粟)の実を 取りたいと思いますが いかがでしょう。」
おおくにぬしのみことは よろこんで、お出かけになりました。 畑の あわは せが 高くのびて、くきの先には、黄色い あわの実が、かたまって ふさふさと みごとに たれています。 よくじゅくした 実の 重みで あわのくきは、わのように 丸く 曲がっているのもありました。 小さい 体の すくなひこなのみことさまは、するすると あわのくきに おのぼりになりました。そして ぽろぽろぽろと、あわの実を お落としになりました。 ぽろぽろぽろ ばらばらばら あわの実が すっかり 落ちてしまうと、丸く 曲がっていた あわのくきは ぴんと はなかえりました。 はねた はずみに すくなひこなのみことさまは、ぽんと 高く はねとばされました。 すくなひこなのみことさまは、「さようなら。」と 一声 のこして、もう 小鳥のように 空を とんでいらっしゃいます。 おおくにぬしのみことは われを わすれて、じっと空を 見上げて おられました。 しばらくして、「おお、すくなひこなのみことよ さようなら。」と 悲しそうに おっしゃいました。 くっきり 晴れた 青い空には、白い 小さい雲が、ぽっかり 一つ あわの畑の上に ういていて、高天原のほうへ ゆるり ゆるりと 動いていました。
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いかがですか?優しい気持ちになりませんか?今まで恐かったり、イメージを悪く捉えていたリアルすぎることばも、子ども向けに表現され・・・あれっ?驚きませんか。こういうことが出来るんですね~と、原作者の藤田ミツさんの才能に脱帽です。
優しいことば
- たいそう長いことで ありました
- そっと一足、そっと二足、ご門の中へ お入りになりました
- だいじの だいじの ご用事でした
※まだまだ、たくさんあって書き切れません
わあ~可愛い♥
読んでいて気持ちいいなと
すぐに気付きます
ことばのリズムが
とてもいいのです!
ことばのリズムに
読み手がすぐに飛び込める
のです!
〝わらべうた〟みたいだな
と、思いました
(私はわらべうたを伝承しています)
保育士の頃をふり返ってみても、読み聞かせのとき ことばのリズムが何度読んでも うまくとれなくて、どんなふうに読んでいいのか? 読み手が戸惑う 絵本ってありますよね。その疑問って子ども達にも伝わってしまいます。名作といわれていても、不自然なことばの本って実は 結構ありませんか?
子どもの頃に親しんだ
おとぎ話
- イナバノシロウサギ
- ウサギとカメ
- ヤマサチヒコとウミサチヒコ
などの神話がこの本には
出てきます
話がつながったとき
しってる!しってる!
と、大変興奮です
(例えば、ヤマサチヒコとウミサチヒコの、無くした釣り針の話を読んでいて、毎日、隙間時間をみつけては、自宅で釣り針をせっせと作っているという、嵐の大野くんを思いだしました。もしかして!大野智くんはヤマサチヒコ? お兄さんの釣り針を魚に取られてしまい、許しをこうために毎日コツコツと釣り針を作った話です。やがて、針を取った赤鯛を探し当て、竜宮城からワニ鮫に乗って、大八島に帰るイラストは、船舶免許をとった大野くんが悠々と海原を運転している姿と重なってほのぼのしました。浦島太郎の元となった話ということならば・・・大野くんは、嵐という竜宮城から、ふるさとに帰る日がもうすぐやって来ることになります。テレビでいってましたが、友達はなんと釣り仲間の船長と上島竜兵さんしかいないという所も、前世、大野くん=ヤマサチヒコ説の強力な証拠です!)
やっぱり一流の作品は
大きな感動を与えてくれます
帯には・・・
浩宮さまの本棚に
無造作に差し込まれていた本。
それは、美智子さまが、
お子様たちの
ためにと選ばれた
神話の本でした。
(皇室ジャーナリスト 渡邊みどり氏)
令和の幕開けにふさわしい本です
子どもの読み聞かせに
ぴったりの本ですが
大人もコーヒーを飲みながら
やさしいやさしいお話を
是非読んでみてください
2019/08/26 はらやま
齋藤 孝 著『読書する人だけがたどり着ける場所』のなかに、難しくても挑戦したい不朽の名著として「古事記」が推薦されています。幼少期に童話や漫画でその世界に親しんでいれば、大きくなって古事記の原文がスムーズに入ってくる・・・と、第7章「難しい本の読み方」を読んで 理解させていただきました。
他にも、齋藤 孝 著『子どもの集中力を育てる』のなかで、幼児期に身に付ける、文化的に価値の高い読書などは〝からだの中に宝石を埋め込む作業であり、リズム・テンポ・くり返しは、脳の発達にてらしても、きわめて理にかなったものだと書かれています。読書というのは、言葉の発達はもとより、人格の幅を広げていくという意味で、大切なことであり、その幼児の人格形成に大きな意味をもつ作業とのことだとおっしゃってます。言葉の感覚を身に刻むということは大切なことだと・・・本当にそうだと思います。